無神論者の慟哭 / まふまふ非公式トリビュート企画
お疲れ様です。
今回はまふまふ速報(@mafusoku)様主催のまふまふ非公式トリビュート企画というものに参加させていただきました。
MVの無いまふまふさんの楽曲にMVをつけていくというような企画です。
これまでの作品のリンクは下記になります。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjm6wsZ4RBRhK46Rt5t0gdZ95bL0zpLw3
今回で8曲目ということで2013年発売のボカロコンピレーションアルバム「EXISTENCE」より「無神論者の慟哭」の映像を担当させていただきました。
まずは見に行ってください。
●今回の企画の参加経緯
今回は普段受けている依頼と少し毛色の違うものでした。
既に世に出ている楽曲にMVをつけるというもので、初めこの話を持ち掛けていただいたときは権利の問題など絡んできそうでお断りしようかなと考えていました。
ただ主催のまふまふ速報さんより権利上の説明を受け、作品の解釈など丁寧にしていただいたことから作品として完成させたいという熱量を感じお受けする運びとなりました。
絵コンテから私の方で考え、イラストレーターの燈乃ニト(@210gaso)さんと共有し微調整をしながら作っていきました。
細かく要望を出してもすぐに修正して対応してくださりとても助けられました...
また色々と殴り描いていこうと思います。
●絵コンテ制作
今回は音源とイラストが揃ってすぐ作る、というものではなかったです。
絵コンテについてはアプリ「Milanote」に私がアナログで書いた絵コンテを載せ、補足の画像などをドンドン載せ、関係者に共有する形で進行していきました。
全体を見せるわけにはいかないですが一部だけお見せします↓
これらは第一稿なので実際できた作品とは結構細かいところ違います。
この棒人間をイラストにしっかりと起こしてくれるニトさんには頭があがりません。
曲の解釈についてはまふまふ速報さんから初めに説明されていましたが自分も絵コンテを描くときに解釈違いが無いか確認しながら描いていきました。(結果的にほぼなかったのですが)
全てここの詞はこうで~と書いていくとキリがなくなってしまうので書きませんが、かなりザックリとした全体テーマとして「周囲からの評価・理想像との乖離・主人公の葛藤・ジレンマ」のようなものがあります。
それらを白・黒のキャラクターの使い分けで表現しています。
それぞれがどのような存在なのか、なんでこういうポーズ・表情をしているのだろうと考えながら見てみてくださいね。
●ザックリ解説
どんなイメージでこういうカットにしたのかなど簡単に説明していきます。
まずスタートのカットですがイメージは独房です。
メインテーマにある周囲の評価や偏見などに囚われている、ということをスタートにぶつけておきたかったからです。
斜めから見ると相当ハリボテです。
光はシェイプレイヤーで作って影もマスクして調整して作っています。
↑キャラの左半分に影を追加したりして光の方向を強調します
そのあとの白黒の対比構図です。主人公の二面性(というか内から見た主人公と外から見た主人公みたいな...)の存在の紹介パートです。
そしてタイトルロゴ。
ここの背景に関して当初のイメージとしては「荒廃した場所」くらいのザックリしたイメージでした。不安定さ・崩壊を表現したかったのです。
絵コンテ段階でもかなりあいまいなリクエストを出していて、そこを関係者からのアドバイスの元今の形に落とし込んでいただきました。
まふまふさんの他アルバムを参考イメージにしているので探してみてください。
(見づらいですが)タイトルロゴはこんな感じ。
今回リクエストとして2010年代ボカロMVらしさを残してほしい、ベースのフォントは小塚明朝を使用してほしいというものがありましたので小塚明朝をベースにしています。
「無神論者の」の部分は真っ黒ではなく少し赤味がからせています。そっちの方が全体的になじんだので。
これを考えるときも結構悩みました。
白黒ベースにしたいとは思っていましたが全体のバランスだったりグラデーションをかけるかどうかだったりチョークをかけて文字の細さを変えようかだったり細かいところのトライアンドエラーが地味に多かったです。
Aメロ前の英詞は「― Light and shadow within my heart. The isolation of two sides ―」
歌詞の意味、どこからこの詞が出てきたのかなどは探してみてください。
Aメロ冒頭あたり。このカットはいい感じに2010年代ボカロMVみを出せているかなあと思っています。
こんな感じで色味を調整しています。
①構図決め ②ざっくり影つけ(今回は逆光になるから白キャラを暗く) ③グラデーションした平面をオーバーレイ合成 ④ライトつけたり影を青っぽくしたりの全体調整
③で重ねているグラデーションは↓のような平面レイヤー
絵コンテではここの「壊した」の部分にガラスで割れるエフェクトをつける予定だったのですが歌詞とのバランスがうまくとれず安っぽくなってしまったため無しにしました。
(失敗パターンの画残しておけばよかった...)
Bメロのこのカットは早すぎてよく見えなかったかなと思います。
ここは全身イラストを用意していただいたのですが、全身を映すとモブキャラの鍵穴みたいなシルエットみたいなやつらが点になってしまうので上半身だけにしました。わざわざ描いていただいたのに申し訳ない...
↑全身イラスト
ここのカットは空気感がお気に入りです。
このカットでは英単語が色々出ています。それぞれの意味も調べてみてくださいね。
「描く夢は愚か」という歌詞に寄り添うカットを作るようにここは考えました。
「理想を否定する現実」というイメージ。理想=白キャラ、現実=黒キャラのような役割です。
黒は大きくバツ印をつけ白が消えていますが、白キャラも最初同じペンキを持たせています。
大きなバツ印をつけ黒が白(=理想)を否定しているようですが白も黒もどちらも主人公自身ということは残したかったからです。
最後にカメラを止めるかのように近づいてくるのは否定している様子を視聴者に見られたくないように、取り繕うようにしている表現だったりします。
サビは白と黒の境界線があいまいになっている表現をしています。
間奏の最初に使われている映像はまふまふ速報さん主催のショートMV企画や過去のトリビュート企画にて制作された作品たちです。過去を眺めている表現です。
2-Aは割とストレートに歌詞に沿ったカットにしています。
病弱→病院
消えてしまいたい→逃げ出す
みたいな。
スマホ越し、画面越しに見られることが存在証明となっているのが現実です。
その姿はまるで視聴者の望む理想像のようですが主人公自身が望む理想像なのでしょうか。
このあたりのカットのセリフはすぐピンと来る方もいらっしゃるのでしょうね。
ラスサビのこのカットは前奏のカットと対比になっています。
最初は背中合わせでお互い別々の存在のようでしたが、ここではお互いの存在を認識しどちらも自身であると見つめなおしています。
何を犠牲にしてきたのか、白と黒どちらが本当の自分なのか。
ラストのここも前奏の時と違い白黒交互に出てきます。
という感じです。
上記以外にもいろいろと考察する要素は残されています。何回も見てみてくださいね。
イラストはもちろんのこと、音源に関してもぐちり(@bomless_race)様のアレンジ音源でとても迫力のあるものになっています。
ぜひ本家との違いを楽しみながらも見ていただければと思います。
ではまた。
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