凹面黙示録 / ドガコレ2021

お疲れ様です。

今回はまきのせなさん(@3329h0rned0w1)主催のドガコレ douga collection 2021に参加させていただきました。

まずはこの場を借りて、このような機会を設けてくださったまきのせな様ありがとうございました。

色々と考えながら作りましたので動画を一度見て、この記事を読んで、もう一度動画を見にいってくださいな。


動画の再生はこちらから↓

https://www.nicovideo.jp/watch/sm39708631


●ドガコレとは

ボカロP、イラストレーターと肩を並べつつも、不思議と存在感がハイパー薄い「動画師」という存在に注目してもらいたいそんなイベント。
動画制作って一体何をしているのか、動画制作者によって何が違うのか。
課題曲とイラストを配布し、どう活用し、どう演出するか。
1週間で自身の作品をどのようにプロデュースするのか。
さっむい冬に熱い戦いが始まる。

(ドガコレHPより引用)


ということで課題曲に対し汎用性のある提供されたイラストを使って各々の動画を作るというイベントです。

ルーキー、カジュアル、ガチマッチ部門に分かれていますので私はガチマッチ部門に参加しました。やるからにはガチマッチで自分の実力を見てみたかったので。


●参加楽曲

今回は柊マグネタイト(@hiiragi_magne)さんの楽曲「凹面黙示録」にて参加させていただきました。

原曲リンク→ニコニコ YouTube

使用イラストさんはゆっけ(@yuki_yuxtuke)様のイラストを使用させていただきました。


●曲の考察・動画の解説

今回動画を作るにあたって、出せる限りのスキルを出すのはもちろんそうなのですがそれ以上に曲をしっかり考察してから作り始めたかったので色々と調べまして、個人的な解釈を得てから作り始めました。

せっかく色々考えたのでそれを踏まえて色々と皆さんも考えを派生させていただければなと思います。

その解釈と並行して動画の解説などができればと思います。


●タイトルについて

まずは「凹面黙示録」というタイトルについてです。

黙示録という言葉をカ〇ジでしか見聞きしたことがなかったので調べてみると真っ先に引っかかったのは「ヨハネの黙示録」

新約聖書の預言書のようなものらしいです。

ざっくりと内容を説明すると、キリストが亡くなった後ヨハネという人物が書き記した世界の滅亡への道筋などが示されているものです

神に使えるものたちが地上に裁きをもたらす様子を伝えるためにヨハネは生かされていたようです。


詳しくは下記Wikiの内容などから色々と調べてみてください。思ったより深かったです。

Wikipedia→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%81%AE%E9%BB%99%E7%A4%BA%E9%8C%B2


この曲もヨハネの黙示録(以下、黙示録)15~16章とリンクしている表現がとても多かったです。


黙示録の中では「羊」という存在が封印を解き、そこからあらゆる使者たちが世界を滅ぼしていきます。最終的な目的はキリストの再臨のようです。

—今叫んだ
「私だけ、 私だけがあなたを救えたんだ」

この楽曲での登場人物は「私」と「あなた」。

私はあなたを救いたいということが歌詞の中に出てきています。

始めはヨハネ=私、あなた=キリストだと思っていたのですが、黙示録の中にヨハネがキリストを生き返らせようとしているという記述を見つけられなかったのです。

また、歌詞の中でも

「待って 戻して、戻してよ」
「私じゃない!私じゃない!」

など"私"が何かをやらかしたため後悔しているような歌詞があります。

黙示録ではヨハネが世界の崩壊のきっかけを作ったわけではなく、羊が封印を解くことで崩壊は始まっていきました。ヨハネは使者に(半ば無理やり?)黙示録を書かされていたようで、能動的に何かをしているようではありませんでした。


ここで見方を変えて、ここは柊マグネタイトさんのオリジナルの要素だ、と割り切ってみました。なのでここからは自己解釈になります。


"私"という主人公が、死んでしまった"あなた"を生き返らせるためにヨハネの黙示録に則った禁忌に触れてしまった。ヨハネと同じ立場になるため自分は死なず、生物は続々と滅びていく。結果として"あなた"を生き返らせることができるかもしれないがその副次的な効果として世界が終わってしまうとは思っていなかった。
ただ私は生き返ったあなたに「また会えてよかったね」と言ってほしかっただけなのに―


みたいな感じだと解釈しました。


また、「凹面」というのは世界が終わりへと向かっていき、地平線が歪んでいく様子と英単語「omen(前兆)」のダブルミーニングなのかなと思っています。世界の終わる前兆に関する黙示録、みたいな。



●開始~0:50辺りまで

開幕は雨の音が聞こえてきます。

柊マグネタイトさんの楽曲では度々雨がフィーチャーされていると思うのですがこれは終末感を表しているのかなと思います。(もっと深い意味があるのかな...)

ここは単純に雨の中傘をさしているイラストのシルエットのみです。

曲が展開され始めた時のBGです。

終末感を出したかったのでなんにもない荒野のようなカットです。夕日と月が同居しているのは、黙示録では太陽や月が1/3暗くなったり太陽の火で人間が焼けたりしていたことがありましたので、天体的にも現実離れした状態になり、もう終末になっていることを表したかったです。

そのためちょくちょくノイズや砕けるカットが紛れ込んでいます。


またこの上のカットなどで髪が揺れていますがここの髪揺れをさせたいがために、イラストレーターの瀬良今日花(@sky_hinata)様に髪のレイヤー分けや下地の肌の補完作業などを手伝っていただきました。本当にありがとうございました。

28~29秒あたりのカットは柊マグネタイトさんの楽曲「或世界消失」の歌詞を引用しています。

或世界消失→ニコニコ YouTube

或世界消失は柊マグネタイトさんの曲の目次のような役割をしているようです。

今作はちょこちょこと他楽曲の要素を紛れ込ませています。

凹・経絡系再生は如何に「重罪」
恨む黙示録 喰らう聚落
凹・生態系改善は如何に「重罪」
笑うテクタイト 鋏む呪縛

(或世界消失より)


経絡系再生→死者の生き返り

恨む黙示録 喰らう聚落→私は黙示録に従ったけどこんなことになるとは思っていなかった。世界は終わり始めている。

生態系改善→使者によるあらゆる生物の滅亡。

笑うテクタイト 鋏む呪縛→星が崩れ始める。解くべきでなかった封印。


みたいな感じなのかな...?

この辺のワード難しすぎて何回も調べました...



●0:50~1:14辺りまで

再生不可能な感情と
記憶不可抗な解呪(デコード)干渉法

ここは黙示録に触れてしまうシーンかなと思いました。

キリストを彷彿とさせるように教会の中のような場所で私が立っています。

鎖は呪いの表現です。「解呪(デコード)」のタイミングで鎖が砕けます。

転落(アヴァターラ)

黙示録に触れ、解呪されたことで鉢が零れます。

鉢というのは黙示録15-16章にある神の怒りに満ち満ちた7つの鉢で、これを天使が零します。ここから世界の崩壊が始まります。

ここはサンスクリット語で「अवतार (アヴァターラ)」と書いています。

ここは先の7つの鉢の内、第2,第3の鉢をこぼした時に起きたことを表しています。

第2は海が死人の血のようになり、第3では水が血に変わります。

硝子張の月に鎮めた火を 無計画に
失って苛んだ

月に鎮めた火=太陽かと思います。太陽をも崩壊させるものを無計画に始めてしまった、という歌詞なのでしょうか。

ですので世界が黙示録によって失われることをここで表現しました。

沿う不安と罪悪を押し殺して―

ここは人類が滅亡していくという罪悪感を無理やり押し殺しているという歌詞でしょうか。

なのでここでは血のような表現を混ぜました。



●1:14~1:41辺りまで

会って話して伝えたい言葉も
奇跡も希望も無いのに
「怖いよ、ひとりにしないでよ」

とりとめもない日常を取り戻したかっただけなのに、もう世界は崩壊してきている。

自分はヨハネと同じ立場だから死ぬことはない。

自分以外の全ての生き物たちが消えていき、

「怖いよ、ひとりにしないでよ」


形じゃない、気持ちじゃない何かを
失ってしまった。

形でもなく感情でもないとなると概念的なものなので「時間」なのかと思いました。

あなたが生きていた平穏な日々だとか、黙示録に触れるまでの世界が無事な時とかその辺のことなのかなと。

なので動画でも時間を彷彿とさせるカットを混ぜています。

「対」の前の高速デュルルルルのところです。

ここは或世界消失に出てくるスワンプマンの記述を書いています。

原子・素粒子レベルで同じで記憶も同一の固体はオリジナルの固体と同一と言えるのかという有名な思考実験ですね。テセウスの船も同じような話かと思います。

凹面黙示録では記述されていませんが、生き返らせる方法というのはこういうスワンプマン的な蘇りを実現させようとしているのかもしれません。人体錬成みたいな。

それを「試験」と呼んでいるのだと思います。

この生き返らせようとして失敗したらまた「試験」をするというのは凹面黙示録の次にアップされた柊マグネタイトさんの曲「アンプランド・アポトーシス」の歌詞にあります。

この曲の歌詞はかなり凹面黙示録と関連性が高いのかなと思います。


アンプランド・アポトーシス→ニコニコ YouTube



●1:41~2:03辺りまで

対 明確 兆し 不正確に
慟哭喰らう 静寂に
采配は愚弄「やめて!」と経絡に
命題 不断 贖罪へと―

兆し→黙示録による死者の蘇り

不正確に→どのような結果をもたらすか分かっていない

慟哭喰らう静寂に→生物が死んでいき泣き叫ぶ

采配は愚弄「やめて!」と経絡に→やったことは間違っていた、こんなことになるなら生き返りなんてしなくていい。今すぐやめてと後悔する。

命題 不断 贖罪へと→はじめの生き返らせるという命題は止まらない。罪を償うしかない。

途中のカットはこちらの参考先の内容を引用しています。

https://ja.wikisource.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%81%AE%E9%BB%99%E7%A4%BA%E9%8C%B2(%E5%8F%A3%E8%AA%9E%E8%A8%B3)

世界の崩壊の段階ですね。

ここのカットは柊マグネタイトさんの楽曲「終焉逃避行」のサビの動きを引用しています。

終焉逃避行→ニコニコ YouTube



●2:03~ラストまで

このラストはかなりお気に入りカットです。

天使の梯子が差し込んでいるようにしたかったので。

絡まった糸 解くように
重たい風 振り払うように
—今叫んだ
「私だけ、 私だけがあなたを救えたんだ」

色々な後悔など全てを振り切って叫んだ。

「私だけ、 私だけがあなたを救えたんだ」

そのことは後悔していない。


ああ、「また会えてよかったね」と
言って欲しかったのに
黄昏が解けてゆく 消えてゆく
何も見えなくなる

ただ会いたかっただけなのに、もう何も残っていない。全てが失敗して終わってしまった。

ですのでここは特に飾らず、箱だけを残しました。

この箱は世界の成れの果ての姿だったり、残された私だったものだったりと色々考える余地としました。



●終わりに

お疲れ様でした。

ここまで読んでくださった方には本当に感謝しております。


実はもう少し色々と聖書関連のことを調べたりしていたのですがそこは関係ないので控えておきます。

解釈していくうちにもう一つ疑問が残ったのは、マーシャル・マキシマイザーの最後の単語の羅列にて「実験」「失敗」という単語が何度か出てきているのは何か関係があるのかな...?なんて考察を更にする余地があるなあなんて思っていました。


マーシャル・マキシマイザー→ニコニコ YouTube


何はともあれお疲れ様でした!

少しでも色々な方の目に止まればなと思います!

拡散・宣伝等もよろしくお願い致します!


ではまた。

びーすけの映像制作あれこれ

これまでの作品や依頼について。

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